出入口で不審者を止められますか?そこに警備員がいる理由 - アシストジャパン

出入口で不審者を止められますか?そこに警備員がいる理由

こんにちは。 アシスト・ジャパン株式会社 東京営業部 警備業担当のAです。

アシスト・ジャパンでは、花火大会や展示会などのイベント警備に加え、常設施設の警備にも力を入れています。イベントだけではないアシスト・ジャパンを、どうぞよろしくお願いします。

本記事では、「出入口には人を立たせておけば十分ではないか」という疑問に対し、施設警備の現場からお答えします。


目次

画面を止めて、一つずつ教わった

筆者は以前、テレビドラマや映画の警護監修を手がけた身辺警護の専門家に、しばらくの間師事していた時期があります。

学び方は独特でした。海外のドラマや、過去に実際に起きた襲撃事件の映像を一緒に見る。画面を止める。「ここで何が起きているか」「この人間は何を見ているか」「なぜここに立っているのか」
一つずつ解析していきました。

過去、アメリカ大統領が襲撃された映像、日本で宗教指導者が襲われる場面、さまざまな映像が教材になりました。フィクションも実際の事件映像も、見方を教わると全く違うものが見えてくる。そういう学びでした。

要人が命を落とす事件が起きて、日本社会が身辺警護の意味を改めて問い始めた時期のことです。


脅威に直面したとき、3つのことを同時にやる

その専門家のもとで学んだ行動原則の一つに、脅威に直面した際の対応があります。

身辺警護の世界では、危険が迫ったとき、3つのことをほぼ同時に行います。

周囲に知らせる。 何が起きているかを声に出し、周囲を動かします。声を出すこと自体が最初の介入です。同じ警備員同士で脅威を伝達するために「ナイフ」「銃」と武器の名称を叫ぶこともあれば、周囲にお客様がいる状況であれば「離れてください」「これ以上入れません」とワードチョイスを変えることもあります。

対象を逃がす。 警護対象を安全な場所へ移動させます。車に押し込む。逃走ルートを確保する。ルート上にチェックポイントを置き、複数の避難先を事前に想定しておく。

脅威に対処する。 民間の警護であれば、取り押さえるか、牽制して時間を稼ぐか。複数の警護員がいれば1名が牽制に回る。日本の街中であれば、周囲に「喧嘩ではありません」と説明する能力も必要になります。

この3つは順番ではありません。同時です。

そしてもう一つ、意外に見落とされていることがあります。人間はなかなか気迫のある大声を出せません。気兼ねなく声が出せる場所で、声を出す訓練をして初めて、人を制したり動かしたりできる声が出ます。


3つのうち一つが欠けるとどうなるか

この原則を知った上で、過去の事件を振り返ると見えてくるものがあります。

要人が街頭で銃撃された事件がありました。映像を見ると、複数の警護員が犯人のもとへ駆け寄っています。「脅威に対処する」に全員が吸い寄せられた。

しかし、撃たれた要人は地面に倒れたまま、そこに寝かされたままでした。車が駆けつけて押し込むこともされていません。

「対象を逃がす」が、空白になっていたのです。

別の身辺警護の専門家にお話を伺ったことがあります。その方はこう言いました。

警護対象はその場から離脱させる。手足がちぎれたら、それも拾って車に押し込んで逃がす

身辺警護において「逃がす」とはそういう優先度のものです。犯人の制圧と同等か、それ以上に重い。3つの同時動作のうち一つでも欠ければ、警護は成立しません。

そもそも、あの事件で犯人に対処できたのは警察官だったからです。では、訓練されていない人員が同じ事態に直面したらどうなるか。ただ口をぽかんと開けて見送るだけかもしれません。状況が飲み込めないまま、「行っちゃいました」と口にするのが精一杯かもしれません。

これは身辺警護に限った話ではありません。施設の出入口でも同じことが起きます。不審者が突破していった後、警備の訓練を受けていない人間が最初に発する言葉が「行っちゃいました」だとしたら、その時点で来場者の避難も、周囲への周知も、何も始まっていません。

「知らせる」「逃がす」「対処する」を同時に回せるかどうか。それは個人の勇気ではなく、訓練によって身につく能力です。


人間は動けなくなる

その専門家から教わったことで、もう一つ忘れられない話があります。

実際に襲撃が起きた現場の話をしてくれたときのことです。

急に脅威にさらされた人間は、目を見開いたまま動けなくなる。身体が固まる。声も出ない。頭では「逃げなければ」と分かっていても、足が動かない。

Freeze(凍結)と呼ばれる反応です。

これは弱さではありません。人間の生理反応です。強いストレスに直面したとき、脳がまず状況を把握しようとして身体の動きを止める。誰にでも起きます。

問題は、「動け」と言っても動かないことです。

そしてその専門家はこう言いました。

「そこで動ける人間なら、そもそもボディーガードはいらない」

施設の出入口に立つ人間に「不審者が来たら止めてください」とお願いするのは、Freezeする人間に「Freezeするな」と言っているのと同じです。警備の訓練を受けていない人間が、生理反応を意志の力で覆すことはできません。

日常的に「何かが起きるかもしれない」という前提で立ち、心のスイッチを入れておくことで、凍結の時間を短くすることはできます。しかしそれは訓練によって身につくものであり、マニュアルを渡しただけでは手に入りません。


誰かがやるだろう、で全員が止まる

Freezeだけではありません。仮にFreezeを乗り越えた人がいたとしても、もう一つの壁があります。

こんな経験はないでしょうか。会議中、明らかにおかしい発言がある。数字が間違っている。方針が矛盾している。全員がそれに気づいている。でも、誰もそれに触れない。自分だけがおかしいと思っているのかもしれない。あるいは、誰かが言うだろう。そう思って黙っている。結局、そのまま会議が終わる。

これが多元的無知です。全員が異常を認識しているのに、「周囲が動いていないから、自分の判断が間違っているのではないか」と感じてしまう

会議室であれば笑い話で済むかもしれません。しかし、施設の出入口で不審者が侵入しようとしている場面で同じことが起きたらどうでしょう。

周囲に人がいればいるほど、「誰かが対処するだろう」と全員が思い、結果として誰も動かない。傍観者効果と呼ばれるこの現象は、人数が多いほど強くなります。

そしてこの傾向は、日本では特に顕著です。「場の空気を読む」ことが重視される文化では、最初の一人が動くまで全員が止まる。異常事態を認識していても、周囲が動いていなければ、自分は動かない。

だからこそ、Freezeも多元的無知も乗り越える訓練を受けた人間が、出入口にいる必要があります。最初の一人として動く。それが施設警備員の役割です。


不審者は一つの型では来ない

出入口に現れる不審者は、映画のように分かりやすい姿をしていません。

ここ数ヶ月、筆者自身も施設警備の現場に立っていますが、以下はすべて実際に発生したものです。

黙ったまま真っ直ぐ入口に突っ込んでくる人。 キョロキョロしながら、何食わぬ顔で人の流れに紛れて入ろうとする人。 混雑のタイミングを狙い、身をかがめて人混みの中を抜けようとする人。 大声で威圧し、怯んだ隙に通過しようとする人。 柵やパーテーションを走り高跳びのように飛び越える人。

あなたがそこに立っていたとして、これらに対処できるでしょうか。

共通しているのは、警備の訓練を受けていない人間の想定の外で動いているということです。来場者対応の延長線上では対処できません。


止められなかったとき、何ができるか

出入口で不審者を完全に阻止できるとは限りません。抜けられることもあります。

重要なのは、「抜けられた後に何ができるか」です。

訓練を受けた施設警備員であれば、不法侵入として私人による現行犯逮捕(刑事訴訟法第213条)を検討できます。ただし、適法な逮捕には厳格な要件があり、誤認逮捕は逮捕罪に問われ得ます。逮捕後の取り調べや実況見分にも数時間を要します。

この法的リスクと負担を理解した上で、現場で瞬時に判断できる人間が出入口にいるかどうか。それが警備員という仕事の商品価値です。


施設警備もアシスト・ジャパンで

アシスト・ジャパンでは、イベント警備に加え、常設施設の出入管理・巡回警備にも対応しています。

「今の体制で十分か、それとも警備員が必要か」。その判断からご相談いただけます。

警備体制や出入管理について気になる点がありましたら、公式サイトのお問い合わせ窓口よりお気軽にご連絡ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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